!ツイッターに置いてあるお題箱よりいただいたリクエストお題です。


シーザーサラダで火傷をするような
よもすがらのあらすじを飲み干せず
海の中よりもっと遠くでまばたいた
額縁と壁の隙間でしか寄り添えない
夏の光に喰われた夜ばかり触るから
いつだって蜘蛛の糸のにおいを嗅ぐ
▲しょうがないひと


最速よりもすこし遅いぐらいでいい
振り向きざまに気持ちを棄てて
いちばんが憎い夕まぐれ
人知れず明日を失うような
膝小僧がキラキラするまでのあいだ
▲星に手を伸ばす


辞書でさえ躊躇うパラダイス
あれを木洩れ日とひとは呼ぶから
胸にだけ巣食うなにもかも
生暖かいてのひらのまんまで
眠たくなったもん勝ちの明日でした
▲世界の終末


アンバランスなフラッシュを抱いて
▲ひとり


いぬいぬこいぬいつまでこいぬ
重ねた五指の隙間に座す赤口
あの夏の夜の夢を孕みまじ
まぶたのうしろの睥睨
足の裏の秘密
ハレの皮膜にケの意思
立てど座れど歩けど女王蜂
ぼくらはどうして燃えている
ねこねここねこどこまでこねこ
▲とうらぶホラー


火星の夜明けを履いた
手足いずれかがひとつだけ多い
滲みついたさびしさたち
赤ちゃんみたいな黄昏にいる
あざとく膨らむばかりのテレパシー
▲亡霊/人工知能


四つ足の祝祭日
噛み合わせの悪い火の粉
滲まない夜を剥いて
夢とよく似た地獄の硬度
回帰の裏に生えている
花で覆い尽くされてしまう前に
▲薬研藤四郎


ビター・ブルー・ビヨンド
心臓よりもきれいな化け物
あの子はひと匙の黄泉戸喫
溢れてもけして満ちない蜜
振り向かないで振り向いて
どうにもならん修羅ばかり
生い茂る緑を邪まと呼んで
触れれば跡形もなく燃える
ほんとうは誰もいなかった
▲夏に死ぬ


頭の中の真夏が叫んでいる
ひと筋の悪魔
くちびるを集めた壺
庭先に七本目の指が落ちた
手掴みする錯乱
極彩の鼻血を舐めて
メランコリーを浴びたら帰るよ
▲掘り起こされた過去のトラウマに悶え苦しむ心情


氷の果実、砂上の焔
今度は絶対に間違えないと言って
ロックンロール・エンドロール
▲こころ


アブラカタブラじゃ止まらない
海砂利水魚のメインディッシュ
月よりもずっと遥かに脆いばら
きみにはピンクに見えていても
額縁のいちばん丸い場所にいる
ケラ・ケラ・ケ・セラ・セラ?
蟲の名前のようなラブ・レター
いつかの有情に沿う忌み数の海
▲暁が煙い潔白の空


ダーク・イン・ザ・ダーク
まるで光を殺すよう踊って
糸操りのグレープフルーツ
心臓よりも左側にはいない
サイケデリック・ヴェノム
夏の虫よかよく死ぬ波羅蜜
ぐるり廻るファムファタル
不確かなれど鮮やかな影片
ドントストップグッドバイ
▲ざらめ本丸



裏庭
僕の甜
凶日の汀
夏至と冬至
日の出から嘘
儀礼的な永久歯
塵も積もれば五指
匣の皮を剥いだなら
万来に毛羽立つ暗がり
凍土の下のいつかの青よ
ちいさな逃げ水を持て余す
そんな夜もあったのだと云う
震えてしまうような一切合切を
▲山姥切長義


木洩れ日のひとつずつを潰すように
花の咲かない掌
蒸し暑いなにもかもさえ愛だった
覇王樹にシュガーコート
夜明けみたいな血の色を飼っている
▲へし切長谷部